コラム
ベギラマという魔法をご存じでしょうか?
言わずと知れた国民的RPG「ドラゴンクエスト」。その1作目における最強の攻撃呪文「でした」。今回はその、JRPG初代最強魔法ベギラマについて思う所を書かせていただければと思います。
冒頭「でした」と強調したのは、ベギラマが最強魔法だったのは初代ドラクエのたったの1作のみ。その後は登場こそすれ最強の座からは落ち、3作目に至っては1つの中級攻撃魔法にまでその地位を落としていました。しかしながらこのベギラマ、地位を落としながらも初代最強魔法の輝きは失わず、インパクトのある魔法として長く君臨していた、自分はそう思います。大きな理由は2つです。
1.味方が冒険の要所となる場面で覚える
Ⅱではサマルトリアの王子が習得する魔法として登場するベギラマ。ムーンブルクの王女が習得するバギと併せて、この2連発でかなりの敵を倒すことができました。逆を言うとこの2連発ができないことで非常に厄介な敵がいました。具体的にはドラゴンフライやマドハンドの大集団。特にドラゴンフライは1ターンで倒せないと炎による全体攻撃であっという間にHPを削られます。大灯台で泣かされた人はきっと多いのではないでしょうか。ベギラマを覚えているかどうかが攻略難易度に大きく関わっていました。
Ⅲではベギラマは魔法使いの習得する魔法。実は魔法使いの習得する中級魔法としてはベギラマは一番威力の低い魔法となっていました。しかし驚くべきはその習得レベル。ランダム要素はあれど、平均するとレベル14で習得します。他の中級魔法と比べると圧倒的に早いです。そして習得時の適応レベルで出現する敵はかなりの敵が一撃で倒せるという破壊力。さらにⅢでもこれが無いと非常に厄介な敵集団がいました。それはキャットバットの4体組。不思議な踊りであっという間にMPを削ってくる厄介な敵ですが、ベギラマがあれば一発で全滅。6MP支払って他のキャラの大量のMPを守ると考えれば非常に理にかなった強力な魔法だったと言えます。
残念ながらⅣ以降では味方の魔法としての活躍がそこまで振るわなくはなりました。でもここまでの話でも、最強魔法でないにもかかわらず存在感を示していたことはご理解頂けると思います。そしてもう一つ、ベギラマを輝かせた大きな理由。それは…。
2.最初にベギラマを使ってくる敵は強い
敵が使ってくる集団魔法は得てして痛いのですが、ことベギラマの痛さは別格に感じました。もちろん実際にはこれよりも上位の魔法の方が痛いのですが、厄介なのは使ってくる敵の出現時期。このダメージ受けたら痛いな、というレベルの威力がかなり早い段階で飛んできます。それ故に「ゲームを進めて最初にベギラマを使ってくる敵が強い」というインパクトを与えてきました。
たとえばⅡでは、普通に進めて行けば最初にベギラマを使う敵として対峙するのは「ようじゅつし」だと思われます。能力的は同エリアで出現する敵と大して変わらない強さなのですが、嫌な敵として強く印象に残っているのは使用魔法がベギラマだということです。しかもファミコン版では2体組が多く、どちらか1体はほぼ初手にベギラマを放ってきたという徹底ぶり。ローレシアの王子の攻撃でギリギリ一撃で倒せない絶妙なHPを持っており、何故だか先攻を取られやすかった記憶も強くマホトーンも間に合わず、出てくるたびにベギラマの洗礼を受ける有様でした。
Ⅲでおそらく最初にベギラマを使う敵は「ガルーダ」。自分はムオルの村へ向かう途中で初登場(当時ガルナの塔が見つけられず適当に歩いたら出現)し、ベギラマを放ってきた時は、そしてその威力には驚愕した覚えがあります。強さだけ見れば同エリアで出現するスカイドラゴンの方が強いのですが、最初にベギラマを放ってきたガルーダに強烈な印象が残ったのも事実です。
そしてⅣ。ドラクエシリーズ初の負けバトル(ストーリー上で全滅しないと先に進めない)が登場したのも本作ですが、その負けバトルの相手・キングレオが最初にベギラマを使ってくる敵となりました。こんな感じで、最強ではないにしろ、プレイヤーに強烈なインパクトを与えてくる魔法として毎シリーズ君臨していた、そんな魔法でした。
そして時は流れ、ツクールシリーズでゲームを作るようになった自分。実はそんなベギラマに憧れて、似た立ち位置のものを作ろうとしたことが何度もあります。魔法に限らず、アイテム、装備、仲間キャラに至るまで。「一度は最強に君臨したものの続編以降で最強ではなくなった。にもかかわらず存在感を持ち続ける」ベギラマのようなインパクトのあるものを。実を言うと自分はまだそういったものを完璧に作れた手ごたえを感じることができていません。いつかそういったものが作れる日が来ることを願っていますが…。
立ち位置は変われど、ゲームを引き締めてくれた素晴らしい存在。あなたのゲームに「ベギラマ」はありますか?
(夢幻台 Twitter)