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フリーゲームの感想・レビューを書くメリットと、その書き方について

 

コラム

①はじめに
フリーゲームの感想を書くかどうかは、プレイヤーの自由です。
しかし、どんな形でも何かしら感想を書いた方が、プレイヤー側・製作者側の双方にメリットがあると思います。

最近では、手軽にTwitterでつぶやいたりブログに書いたりするなど、色々な発信手段があります。
今回は、フリーゲームの感想・レビューの書き方について、私見を述べていこうと思います。

②フリーゲームの感想・レビューを書くメリット
・新作に繋がる可能性がある
プレイした作品が面白かったのであれば、なるべく感想を書いた方が良いと思います。
なぜなら、そのような感想を発信することで、新作へと繋がる可能性があるからです。

ゲームを公開したことのない僕でさえ、レビュー記事に対して何らかの反応があれば、嬉しく感じます。
製作に長い時間を費やすゲームでは、なおのこと嬉しいのではないでしょうか。
長い時間をかけて生み出したものであれば、感想や反応が欲しくなるのが人情ではないしょうか。
ネガティブな感想はともかく、ポジティブな感想であるのなら発信しない手はないと思います。

・プレイする人が増える可能性がある
感想やレビューを発信することで、そのゲームが他の人たちの目に触れる機会が増えると思います。
僕も普段から面白そうなゲームはないかアンテナを広げていますが、すべての作品をカバーすることはできません。
そのため、Twitterで流れてくる情報は大変貴重で、それがプレイの端緒になったことも多いです。

どっちみち興味がない人は、そういった情報が流れていても流れていなくても、プレイしません。
しかし、その作品を知ればプレイに傾く潜在的なプレイヤーは大勢いると思います。
プレイヤーが多くなれば感想やレビューの量が増えていき、前項で述べたように新作に繋がる可能性が出てくるのではないでしょうか。

・自分のツボが明確になる
感想やレビューの基本は、自分が面白いと感じた点・印象に残った点を書くことにあると思います。
面白さを他人に伝えるとき、なぜ自分が面白いと感じたのかを文章にする必要があります。
その文章を書く過程で、自分の中の漠然とした気持ちが段々と明確になっていきます。

これによって、自分が面白いと感じるツボが少しずつ分かってくるようになってきます。
自分のツボが分かってくるようになると、自分の好みに合うゲームを探す際に役立ちます。
さらに、自分のツボを発信することで、周りの人が「この作品もあなたの好みに合いそうですよ」とオススメしてくれるパターンもあります。
このように、自分のツボが明確になればより多くの作品に出会う機会が増えると考えられます。

③どのように書けばいいのか
感想を書くにしても、色々な手法があると思います。
最初から長々と書こうとするより、段階を踏んで具体的にしていくのがいいでしょう。
まずは漠然と書き出していき、その後でプレイ中に感じたことを思い出しながら具体的に肉付けしていく感じです。

・注目する項目
ゲームで注目する項目は、ジャンルによって様々であると思います。
RPGであるなら、ストーリー、ゲームシステム(戦闘を含む)、キャラクターへの感想が中心となるように感じます。

グラフィック・BGMも大事ですが、僕の場合はそこまで重視はしていません。
心に残ったり、印象に残ればプラスにはなりますが、仮に物足りなく感じても、それを理由にマイナスすることはほぼありません。
ただしグラフィックが良いと、ふと見かけた人の目を惹くので、プレイに繋がりやすいというのは強く感じます。
内容が面白くて初めて良い評価になるのだとは思いますが、グラフィックが良いとプレイヤーの母数は必ず多くなると思います。

・肯定的な意見の書き方
肯定的な意見で、一番大きな分類に属するワードは「面白かった」「楽しかった」などです。
これだけでもポジティブな意見だということは伝わりますが、最低限、どの部分が良かったのかを書き添えると良いと思います。
たとえば、「戦闘が面白かった」「ストーリーが楽しかった」「成長システムが良かった」「キャラクターが魅力的だった」というような具合です。

そして、さらに理由も書き加えられれば、より良いと思います。
「戦闘の難易度がちょうど良いので面白かった」「ストーリーの展開が読めず楽しかった」「成長システムの自由度が高くて良かった」「普段はクールな〇〇が、段々と熱い性格になっていくのが魅力的だった」というような感じです。

ここまで書いてあれば、感想としての体裁は十分であると思います。
まずはTwitterやレビューサイトなどで、数行だけでも書いてみてはいかがでしょうか。
感想の内容というものは、自分の好みに直結している言葉なので、「自分はこういうポイントを重視しているんだな」と、自分を見つめ直す機会にもなるはずです。

・否定的な意見を書くことの是非
肯定的な意見であればどんどん書いていって良いと思いますが、否定的な意見を書く際には注意が必要だと思います。
どんな作品であっても、は良い点と悪い点が存在していると思います。
そして悪い点を書くのであれば、良い点も一緒に書く方がいいと僕は考えています。

感想が悪い点ばかりになってしまうような作品は、そもそもプレイヤーの好みに合っていない可能性があるので、レビュー自体書かない方が良いのでは、という気がしています。
もちろん、作者本人が「厳しい意見も待っています!」「悪い感想でも遠慮せずに書いて欲しいです!」と募っているなら、問題ないと思います。

僕は、悪い感想の方が多くなってしまいそうな作品については、記事自体を書かないことが多いです。
本当は書いた方が良いのかもしれないのですが、どうしても「これを書いて意味があるのか?」と思ってしまうのです。

ネガティブな感想を書けば、それを読んでプレイするのをやめてしまう人がいるかもしれません。
自分が悪い感想を書くことで、別のプレイヤーのプレイ意欲を奪ってしまう可能性があるかもしれないと、抵抗感を覚えてしまいます。

公開されたフリーゲームにとっては、悪い感想が多くなってしまったとしても、多くの人にプレイされることが幸せだと思います。
「そのゲームをプレイするのはやめておけ」というメッセージになりかねない感想を書くのは、いったい誰のためになるのだろうと、考えてしまいます。

そういうわけで、僕が書く感想記事は、おそらく一般よりも甘めになっていると思います。
厳しい意見を書く役目は、別のレビュアーに譲ろうと思います。

余談ですが、お金を支払っているゲームの感想については、また少し別の話になってきます。
お金を払っているという気持ちがある分、不満点についてはあまり遠慮せずに書くようにしています。
僕の記事を読んで購入に至った人が、記事で触れていない不満点によって「買って損をした」と思ってしまうことを避けたいからです。
そのため、購入したゲームについては遠慮せずに不満点を書くようにしています。

・否定的な意見の書き方
さて、否定的な意見の書き方についてです。
まず必要だと思っているのは、プレイヤーがそのゲームをどこまでプレイしたかという情報です。
クリアした人の感想なのか、そうでないのかは、割と重要な情報だと思います。
「5時間ほどプレイして〇〇まで進めたところまでの感想です」「1周クリアした上での感想です」というように、プレイ度合を明記しましょう。

次に、「面白くなかった」「つまらなかった」という言葉は、「楽しめなかった」という言葉に言い換えた方が良いと思います。
「面白くない」「つまらなかった」等のような、作品自体に問題があるような言い方はキツく感じられてしまうので、あくまで「自分は楽しめなかった」という言い方が無難です。
実際、昔は楽しめなかったことが、大人になってから楽しめるようになる例もあります。
そのような場合もあるので、あくまでプレイヤーの楽しみ方の問題にしておいた方が良い気がします。

単に「つまらなかった」「クソゲーだった」と一言だけ書くくらいなら、書かない方がマシだと思います。
プレイヤーに金銭的な損害が発生したわけではないのに、わざわざその一言だけ言い放っていくことは、何も生み出さない行為です。
「つまらないゲームによって時間を無駄にした」という批判も、的外れだと思います。
フリーゲームをプレイすることは別に義務でもなんでもありませんし、すべての作品が自分に合うわけではないことくらいは承知しておくべきでしょう。

操作性や機能面などの不満点は、比較的書きやすいかと思います。
「戦闘スピードが遅くストレスを感じた」とか「画面が切り替えのロードが長い」といった問題です。
速度の問題はプレイヤーのパソコンのスペックの問題という可能性がありますので、推奨環境かどうかの確認くらいはしてから書きましょう。

「すぐに全滅してしまうので、リトライ機能があれば便利だった」とか「ボスを倒した後は、任意でダンジョンから脱出できると良かった」など、機能面での前向きな提案は良いかもしれません。
ただし、技術的に難しい場合もありますし、要望の通りに修正するとゲームコンセプトから外れてしまう場合もあるということは、念頭に置いておく必要があるでしょう。

特に書き方が難しいのは、ストーリー内容についての否定的な意見の書き方です。
この部分の否定は、一歩間違えれば作品そのものの否定に繋がりかねないので、生半可な覚悟では書かない方が無難だと思います。
書き方によっては、プレイヤー側の「楽しむ能力」の欠如を晒してしまうことにもなりかねません。
もし書くのであれば、単にその部分を否定するのではなく、こういう風なら自分も楽しめた、というように書くと良いのではないでしょうか。

たとえばスクウェアの作品「ファイナルファンタジー5」(FF5)に対して、「ジョブチェンジシステムが複雑なので無い方が良かった」という意見は、作品の根幹に関わる部分の否定です。
そもそもFF5は、ジョブチェンジによる様々な特性を自由に組み合わせられるシステムがウリの作品です。
その点を否定するのであれば、そもそもプレイするゲームのチョイスを間違えているのでは、ということになってしまいます。
「ジョブチェンジシステムが複雑で分かりにくかったので、もう少しわかりやすい説明があると良かった」なら、まだ良いのではないかと思います。

また、ストーリーやキャラクターについても、否定的な意見の書き方は難しいところです。
作品のオリジナリティにも関わる部分なので、下手に改善提案という形では書かず、「自分はこう感じた」という書き方に徹するのが良いと感じます。
「〇〇のムカつく言動が嫌いだった」「〇〇の考え方が、自分勝手すぎるので共感できなかった」というような、キャラの好き嫌いについての意見は、製作者が狙って嫌われるように作っている場合もあるので、書いてしまっても良いと思います。

「〇〇だからといって復讐を決意するのは理由が弱いと思った」とか「〇〇という悲しいことがあったのに、すぐにはしゃいでいるのは理解できなかった」というような、演出やストーリー部分については、大きな違和感を覚えたのなら、正直に書くと良いかもしれません。
ただし、細かいところまで否定的に指摘するのであれば、良い点についても細かく書くようにしないと、感想がアンバランスになってしまうかと思います。
ノベルゲームなど、物語の比重が大きい作品であれば、こういった部分まで踏み込んでも良いと思います。
しかしRPGやシミュレーションなど、他がメインであるのなら、ここまで踏み込んで書かなくても良いのではないでしょうか。

④おわりに
フリーゲームの感想・レビューの書き方について、私見を長々と書きました。
この記事に対しても、賛成意見・反対意見など、色々と思うところがあると思います。
しかし、色々なスタンスのプレイヤーがいるからこそ、作品への感想に多様性が生まれると思うので、異なる意見であっても尊重したいと考えています。

フリーゲームの良いところのひとつは、無料で公開されているという点にあると思います。
プレイヤーに何かを負担させているわけではないので、作者は思いっきり自分の好みで作ってしまって良いと思いますし、製作技術上達のための練習として作るのも自由だと思います。
また、今後の有料作品への布石として、ファン獲得を狙った戦略的な作品でも良いと思いますし、メジャー受けを狙った人気取り作品でも良いと思います。
フリーゲームは、無料だからこそ「こうあるべき」という制約がなく、尖った個性の作品でも許容される懐が深い界隈であると信じています。

繰り返しになりますが、今まで感想を書いたことがない人も、まずはダウンロードサイトやTwitterなどで、一言だけでも感想を書いてみてはいかがでしょうか。
その一言で、誰かが素晴らしい作品と出会うことができるかもしれません。

※本コラムは、2020年9月に自身のブログに公開した記事を加筆・修正したものです。
「フリーゲームの感想・レビューを書くメリットと、その書き方について」
(https://www.losspass.com/article/freegame-kansou.html)

 

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