FC版のドラクエ2についての思い出話をする。
サマルトリアの王子が仲間になり、戦力も強くなってきたところで二人目の仲間がいるムーンペタの町に足に踏み入れる。
そこで今まで通り、敵を戦って経験値やゴールドを溜めようとした時、出てくる強敵がいる。
その名は「マンドリル」である。
ムーンペタ周辺に出てくる敵のHPが20前後という時にマンドリルのHPは40である。
その上、力が48とこれまた周辺の時よりも二回りほど上回っている。
勇者の泉の洞窟にいるキングコブラのように1匹のみで出てくるわけではなく集団で出てくることもある。
2発の攻撃で沈められた時はなんなんだコイツは…。と思ったものである。
そんな中、他の敵を倒しつつゴールドを溜めてついに購入できた「はがねのつるぎ」を手にする。
他のザコならば一撃で倒せて、あのマンドリルでさえ、バギやギラと合わせればすぐに倒せるようになった。
主人公達が強くなっていった時を実感出来た瞬間である。
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時は令和の時代。
昔の商用ゲームのクオリティを遥かに上回るフリーゲームが次々へと出てくる時代。
昔はゲーム内の1つのコンテンツとしてあったザコ戦との戦いも少々様変わりが起きている。
ソシャゲの台頭によりザコ戦はスキップされているのである。
オートでバッサバサと倒されていく敵。役割は主人公達に幾ばくかの報酬を与えるだけである。
かつては少ない持ち物と少ない手段での撃退方法を用いて効率よくザコ戦と戦って、立ちはだかるボスに挑む。
というのがRPGの定番であったが、リソースが豊富な今はそんなのは過去の話。
フリーゲームといえども、ボス戦の前で主人公達は完璧な状態で挑める。
寧ろ、ザコ戦はゲームを進めていく上で障害物でしかなく、うっとしいものとなっている。
フリーゲームといえその問題は看過できるものではなく、プレイヤーに気持ちよく進めてもらわないと不快なゲームだったと烙印を押されかねない。
ザコ戦がなくなれば主人公達の成長もアイテムを使っていっきに成長するとか、非常に効率の良い敵を倒していくに変わってしまった。
それによって少しずつ成長というのは終わりを告げた。
可能な限り非常に良い効率で主人公達を成長させて武器もガチャで手に入る最高峰を使えば良い。
「はがねのつるぎ」は今の時代はいらない子になってしまったのだ。
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とはいえ、フリーゲームでは成長をテーマに掲げるものは多く、そこには「はがねのつるぎ」が存在しているのだ。
ザコとの戦いにマンネリを起こさず、強さを実感できる工夫を惜しみなくする製作者には尊敬の念を抱いている。
多くの娯楽があるその中で、その道を貫くのは苦難の道も多いだろうけど望んでいる人は少なからずいると思う。
ちなみに冒頭のマンドリルは真正面から立ち向かうよりもラリホー使って眠らせてから戦ったほうが楽ではある。
(ディンク Twitter)


